ジーンズ、その生態(体系?)



 ジーンズ

一口に言っても沢山の種類がある。
去年流行ったモノと言えば、クラッシュドデニムとか、ローライズ・・・
形状も様々ならディティールも様々。
大戦モデル、XXモデル、66モデル・・・

一体それはなんなのよ!?
と、そう思うのが普通の人間の神経というもので、
実の所、私もはっきり存じ上げません!!(キッパリ)
まぁ、自慢するようなことでもないですけれどね・・・(^ ^;Δ

自分の頭を整理するのも兼ねて紹介したいと思います
間違いなどあれば、ドシドシご指摘お願いいたします


1.モデル


最初に紹介するのは、〇〇タイプのジーンズと言われるその形状
特に全体的なディティールを指す際に用いられるモデルを紹介する。

基本的に、
501モデル、大戦モデル、66モデル
この3つに分類される。

名称 501モデル(XX) 大戦モデル(WWU) 66モデル
特徴  全てのジーンズの元祖
Levis501のディテールがモデル
 戦時下の物資統制により
簡素化が図られたモデル
19"66"年に限定発売されたモデル
各ディテールがマイナーチェンジ
シルエット 普通(と定義) 腿から裾までほぼ同じ太さ
ドーンとしてる、ドーン
501に比べ腿が若干、もしくは細い




それでは各モデルについて細かく検証してみましょう
ジーンズを検証していく上でやはり全てのオリジナルという
LEVISブランドは外せません
と言う事で、LEVISを例に解説することになります
ご了承ください




○501モデル

KING OF JEANS Levis501
ジーンズの原点をモデルとモノ

シルエットは定番で、形もストレート
股上も深過ぎず(深いモノもあるが)万人に穿きやすい形
定番故に、ジーンズと言う呼称=501を指すことも少なくない
因みに501XXという正式名称が用いられたのは1890年で、当時は10ozデニムであった
へぇ〜〜へぇ〜〜〜(51へぇ)

また501の後の「XX」ダブルエックス とは何か??
eXtra eXceed(最高の)のXX または eXtra heavy のXXらしいです。
特に後者は、heavyにX入ってねぇじゃんか!とツッコミたくてウズウズしてます


余談だが、昔まだアメリカの作業着として発売されたジーンズ
数多のジーンズが発売された中でその製品の素晴らしい耐久度で有名だったLevis501
というのも、ポケットをリベットで補強した作業ズボンとして定評があり
その堅牢さから西部アメリカ中で注文が殺到したとか・・・

そして、当時ではウェスト・オーバーオール(現ジーンズ、昔はこう呼称されていた)
といえば501という程定番になりました
多分こんな感じで

「Hey! 501シルブプレ!!」
「OH! ジーンズNe!」

みたいな・・ EDW○Nの5○3と同じ感じですね。(伏字の意味なし・・・)





○大戦モデル(WWU)


戦争に翻弄されたジーンズ界の異端児
Levis S501XX




第二次世界大戦末期日本でも食糧が配給制になったり
一部では、寺社仏閣の鐘を溶かして航空機などの材料にあてようなんて・・・
金属が徴発されたのは、ここを読んでいる博識な方々ならご存知でありましょう

それは当時の敵国であるアメリカでも例外ではありませんでした
主に統制されたのは、金属製リベット・ボタン、そして縫製に使われる糸
余談だが、ジーンズ一本作るのに実に200mほど綿糸が必要とか・・・

大戦モデルは当時発売されていた Levis S501XX というジーンズをベースに作られたものです。
S501の「S」は、simplified(簡素化された)の頭文字を取ったもの
この頭文字を付けたのは、簡素化モデルだと明示し別物扱いする事が目的
またフラッシャーなどに表記されているように 

FOR THE DURATION


「戦争が終結するまで・・・」

つまり仕方なく戦争の為に簡素化したので戦争が終結するまで我慢して下さい
といった感じみたいです

細かな既存品からの変更点は

変更前 変更後
社名入り
亜鉛製ボタン
安価な月桂樹柄ボタン
月桂樹=勝利からか?
リベット(銅製) 省略
もしくは隠しリベット
銅製→スチール製(銅メッキ)
バックポケット
のステッチ
省略
もしくはペンキで描かれる
綿ポケット生地 ヘリンボーン、ネル生地等
廃材を再利用している


革パッチはそのまま残されているケースがある
やっぱ戦争に使われないから、革はいいのかな?と

今でも販売されているのはそのストイックな仕様が新鮮だからか
いずれは触れてみたい、あえて言うなら珍品ジーンズ
またスチールに変更した事で、銅とは違った成長過程を楽しめる・・・
そう、「腐食」である。
オリジナルヴィンテージの隠しリベットを見れば、黒ずんだ鈍い銀色のリベットを見る事が出来るだろう



戦争当時、糸の節約からLevisのバックポケットのアーキュエイトステッチが
ペンキで描かれていました
それは洗濯を繰り返すことで消えてなくなってしまうのですが
それを、Levisのニセモノだ!!
と決め付けて抗議が殺到した
という史実が残ってます




○66モデル

期間限定の "66"


まず結論から行きますと、その定義は

1.フラッシャーに©(著作権)1966と入っている
2.ポケット横赤タブがL"e"VISと表記さてれいる

3.トップボタン裏側に6という刻印が入っている

となります。
66年にLEVISがなんの特許を収得したかは不明ですが・・・
細かい点になると、紙パッチ「501」スタンプの上に
Care Instruction Inside Garment
「洗濯表示は中にあります」
というのが書かれている。
または、これまであった「XX」表記がなくなったが
同じ品質を保持した商品、ということで
501のlot.ナンバーの上に小さく「501XX」と表記されているのもある

さてそれまでの変遷ですが・・・
戦後、物資統制を解かれ501モデルが従来のディテールを復活!
それはフラッシャー等で面白い表現方法で復活を強調しているがそれはまた別の機会に。

さて501ですが。
1947年以降50年代の「501XX」というのがジーンズという歴史の中で
一つの「完成形」、究極のジーンズとして評価されています
主因はその色合い!インディゴの色がこれまでで最も美しいとされているようです

その後、完成された501は各所マイナーチェンジを行いました
ちょっとマニアックですがその変化を述べますと・・・



1度目は1954年〜60年頃まで

ベルトで擦れて破けてしまうと言う事で、革パッチから紙パッチに変更
コレただの紙ではなく、合成素材で勿論革より耐久性があり更に水にも強い!
そうしないと、革から変更したメリットないですからねぇ・・・
この時点で 「Every Garment Guranteed」 通称ギャランティーはまだパッチに刻印されてます




2度目は60年位〜60年代中期

このチェンジはホントーにマイナーチェンジで
紙パッチから前述のギャランティーがなくなっただけ・・・



3度目の変更は60年代中期〜70年代

ギャランティー無し紙パッチに、隠しリベットが廃止、バータックといわれる縫い方に移行
また、使用されているリベットが表は銅製だが、裏の押さえ金部分がニッケル合金に変更
そして、紙パッチのツーホースの下に
Made in USA
という表記が入るようになった


この3度のマイナーチェンジを経て一般に言われる
「501XXの最終形態」
に至るのだった・・・


が、この頃になると俗に言う「1947」という最高傑作のジーンズに見られる
独特の生地のボコボコ感がなくなりフラットな生地になってしまった
それはつまり、色落ち等も変わってきてしまうということ


なんでそんな事になったのか?


確証は持てませんが、当時(70年代)の紡績技術の発展により
50年代技術未発達の為に凹凸が出たムラのある生地が
均一に織りあがり、フラットな生地になってしまった。。。
結果として、

皮肉にも技術の発展が色落ちのクオリティーを下げた

と言うことになってしまったのだ
いやはや・・・世の中ってのは不思議だな〜と思わずにはいられませんね〜


因みにアーキュテッドステッチ

戦後復活してから真ん中に三角を作るダイヤモンドポイントになりましたが
これはミシンの進歩によって今まで2回に分けて縫ってたステッチを1回で縫えるようになったが
その代わり真ん中で折り返す時にどうしても片方は縫いながら返さなければいけなく
三角が出来た、と言う事でこれも結局進歩の為にどうしようもなくなったポイントですね


さてかなり長くなりましたが、66モデルとは何か?に入りましょう
基本的に最初の定義に当てはまるものが66モデル、となります
66モデルの中でも前期と後期があってまたマニアックなんですが以下に違いをまとめます

66モデル
前期
66モデル
後期
生産年代 1970年〜70年中期 70年中期〜70年後期
特筆すべき
両者の違い
バックポケット裏の縁のステッチが
シングルステッチ仕上げ
バックポケット裏の縁のステッチが
チェーンステッチ仕上げ
別名 66シングル 66チェーン
縮小率 約8% 約10%


気付かれたと思うが、前期と後期の生産時期が重複している期間があるので
オリジナルヴィンテージには、未だ見ぬ(もしくはもうあるかも?)前期と後期の特徴を併せ持ったモノ
あるかもしれませんね!


この章のまとめとして

501XX → "E" → "66"

という変遷を約10年間で行ったようです
持っていないモデル66なので、資料からの記述となって
なにやらウンチクばかりですみませ〜ん
66買ったらまた分かると思いますのでお待ちください(^ ^;Δ



2.シルエット


色々なシルエットが見られるジーンズ、そのシルエットをみてみましょう

腿の形状から大別すれば
ストレート、フレアー系(ブーツカット・ベルボトム)、スリム系のテーパード
以上の4種類

脚部分のシルエット(太さ)で見れば
タイトフィット、レギュラー、リラックスフィット、ルーズフィット
位の4種類くらいでしょうか??あ、後は立体裁断もありますね

あとは・・・挙げるなら
股上の浅いローライズ、股上が深いハイライズタイプ

ここではジーンズの種類、ブーツカットなどを取り上げたいと思います


名称 ストレート ブーツカット ベルボトム テーパード
特徴 真っ直ぐなライン
厳密に分類すると
テーパード気味とパイプライン
というストレートがある
ウェスタンブーツ用ジーンズ
ヒップから腿にかけて絞られ
腿から裾に向かって広がっていく
簡単にいえば
ブーツカットの発展形
ベル(鐘)のようなという意
極端な絞込みでタイト
ブーツカットの形状
とは逆
腿が広くて、裾に向かって
軽く絞られる
メリット

デメリット
定番
強いてあげれば・・・
極端に足が細い人には不向き
ルーズなシルエットになる
裾が広がっている為ブーツに合う
足が長く見える

が、極端に背が低い人に不向き
底がある程度ない履物には×
ブーツカットと同じで
足が長く見える
極端に背が低い人でも
絞りが強いのでカットしても○

ブーツなど踵の高い履物以外
はその個性に押し潰される?
腿がふくらはぎより太い
という人間の形状に合っている

が人によってはもたつく
という場合あり



最後に
ブランドによってその呼称は異なるが、基本的にこの4つで全てを網羅している
テーパードはストレートに含まれるので(事実Levis製品は程度の差こそあれ全てテーパードがかかっている)
実際にはストレート、フレアー、スリムの3つに大別される。




3.レプリカ


便宜上、現在発売されている商品を例にとって説明する
前出の通りLevis社の製品がジーンズの原点になる

なので、厳密にいえばLevis以外の会社のジーンズはレプリカという区分になる
勿論Levis社の製品にも当時のジーンズのレプリカがある
それが復刻製品となる


簡単に言えば


Levisが作ると復刻
他ブランドが作るとレプリカ

意地悪に言うと模倣品


となる・・・かな??
私の持ってるモノで説明すると

Levis646は70年代のオリジナルヴィンテージUS646の復刻版

SC1947はLevis47年モデルを細部まで検証して、オリジナル要素をプラスしたレプリカ

Joe McCOY901は架空の大戦モデルとしてS501XXをベースにオリジナル要素で作ったレプリカ


となります


しかし、Levis然り、レプリカブランド然り


どうしてこんなにも高いのか!?


昔のものなら安く作れるんじゃないのか!?
これは小生も声をにして言いたい!!!

だが!!
ここに島国根性、技術大国日本の素晴らしさを見た!!(笑)
ヴィンテージレプリカを製作・販売している日本の会社は
あろうことか、当時(44年なら44年の)のジーンズを作っていた力織機を見つけて買い取った!
そしてメンテナンスをして当時とほぼ同じ生地を生産し続けている。
それは今から見ればローテクで、生産効率が悪く、出来上がった生地もムラがある・・・


が!


ムラ、これこそがヴィンテージジーンズの素晴らしい色落ちの最大の要因!!・・・らしい・・・
今もまだその生産効率の悪さで大量生産できないからコストが下がらないようです

まぁ、だからと言ってレプリカジーンズ・高いジーンズがいい色落ちをするか?
答えはハッキリとYES!とはいえません。
その人の穿き方や、洗濯の仕方、生活様式と色々な要素が起因している
はたまたその人の好みの色落ちと言うものがあるのでなかなか難しい・・・
白に近い水色が好きな人もいれば、メリハリのある色落ちもあり・・・



技術的に言えば現在の技術水準の方が何倍も、何十倍も高いわけで
その点で言えばもしかしたら現行のLevis501はキレイな色落ちするかもしれません・・・

色落ちは奥が深く・・・先が見えませんね・・・


ですが、レプリカブランドも色々な味を出して定評があります
一例を挙げれば、私が好きなダルチザン!!
ブタ2匹がジーンズを引っ張っている革パッチはLevisのツーホースのパロディだし
染めで言えば、天然藍染めというオリジナルには無いモノあったり・・・

フルカウントというブランドでは
超長綿のジンバブエ綿を使用して従来の
ジーンズ=硬い
という概念を覆す柔らかな伸びる生地だったり・・・

ジーンズ=Levisという公式に敢えてはまらないのもいいかもしれませんよ!


そして藍染だけに

青は藍より出でて、藍より青し!

という格言がありますよね
生地・縫製など、藍(オリジナル=アメリカ製)より出た青(レプリカ=日本製)が
藍より優れていると言えるでしょう
ま、好みは人それぞれなので一概には言えませんけど


まとめ

書いててよくわからなくなりました・・・(^ ^;Δ

本末転倒ってこのことだな〜(笑)
でも、まぁ試着して気に入ったの選べばいい訳で・・・

こんな事は知らなくてもいいっていうか・・・
構造知っていると選ぶのも楽しいですよ〜
それと詳しい人、是非教えてください


次回はジーンズのティテールの説明です

2003.02.27
同 03.04加筆


参考文献:「ヴィンテージジーンズ 真の価値」
土屋淳一氏著・山海堂


   

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